先日の新聞で現在、大学は学生に職業生活や社会生活に必要な能力・資質をもっと身に付けさせるように迫られている。
これまでの大学教育は学部・学科の縦割りで学生本位の教育活動の展開を妨げてきた。
「これからは次代を担う若者に求められる職業生活や社会的自立に必要な能力は何かを見定め、
その教育プログラムを構築すべき」と政府は大学に教育プログラムの転換を求めているようである。
学生に求められる能力のもとになっているのが、経済能力開発機構(OECD)が示した
「主要能力(キー・コンピテンシー)」という概念である。
これは90年代の欧州で若年層の失業が社会問題になり、OECD加盟国が中心となって雇用に必要な資質を定義し測定する方法が研究された。
これがご存じのPISAテストにつながる。
1997年に開発がスタートし2000年に第1回調査を行い以後3年ごとに調査を行っている。
調査対象は15歳3ヶ月から16歳2ケ月の生徒に読解力、数学知識、科学知識、問題解決力を調査し
、国際比較により教育方法を改善することに役立てることを目的にしている。
傾向からは中国、香港、シンガポール、日本、韓国が上位国。
この「キー・コンピテンシー」の概念は、世界の教育改革の潮流であり、国際的な学力評価の指標である。
今後、グローバル化した国際社会で勝ち抜くために必要な人材に求められる資質能力を設定し、適切に対応していくスタンスが大学に求められている。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)