ある資料で2014年の国内アパレル市場は、全体でおよそ9兆円とのこと。今後も市場は横ばいから微減で推移する見込みである。市場全体の伸び悩みの背景としては、少子高齢化による人口減および衣料品への出費が少ない高齢者の割合の増加、ファストファッションの低価格商品が選択肢として増加したのではとよく議論される。
中身をみると、大きく3つの市場に分かれている。ラグジュアリー(1兆円)、トレンド(2.6兆円)、マス・ボリューム(5.4兆円)に分かれる。ラグジュアリーは富裕層を狙ったセリーヌ、グッチに代表されるハイエンドブランド。トレンドは流行に敏感な消費者を相手にオンワード、ワールド等のアパレル企業ブランドやUAやベイクルーズに代表されるセレクトショップブランド。マス・ボリュームは、一般層を相手に事業展開するユニクロ・しまむら・無印良品。ZARA,,H&Mは、トレンドとマス・ボリュームの一部を侵食して成長している。
成長性は、ラグジュアリーは横ばい、マスボリュームは微減、トレンド市場のみ縮小傾向にある。
トレンド市場は、ブランド過多の状態であり、アパレル各社はブランド廃止、店舗の大量閉鎖から極めて厳しい競争環境に変化している。
トレンド市場が苦戦となる要因として挙げられていたのは、価値観の多様化に伴いトレンドが小粒化し、ブランドの投資効率が下がっている。以前のような100億ブランドが生まれるのは難しい状況である。この10年以降自分が好きなものを着るというスタイルに変化し、流されにくい消費者が一般になってきている。よってアパレル企業は従来のようにトレンドを作り出し、消費者をまとめて取り込むことが難しくなってしまった。
今後、トレンド市場で勝ち残るためには、お客様の価値観を刺激する服作りが重要。従来は外部のディレクターにブランドコンセプトからターゲットまでまる投げ傾向にあったが、これからは特に消費調査から価値観の把握のアプローチから顧客のセグメントをウオッチし、顧客セグメントの増減を常に把握することが大事であると。
セグメントとしては、アメカジ、アウトドア、きれいめ(モード)、LAセレブ、コンサバ等とどこにセグメントするのか、
従来のデザイナー任せでなく企業のMDマーケティング力のアプローチを変える時期に来ていると思う。そのために企業はMD力のある本物のファッション人材の育成が急務と考える。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)