コロナで制限された暮らしは、人生や生活に必要なものとそうでないものを問い直すきっかけになった。言い換えれば、コロナは大きな社会の変容をもたらす。
“外圧”だという人も少なくない。時代は平成となってから、経済は低迷、2008年をピークに人口減少に転じた。ところが昭和の成功体験を引きずったまま、企業も個人も変化できず、その結果、平成は「失われた30年」となった。
そして、2019年に迎えた令和時代にたまたま2020年のコロナ禍が重なる。これは今度こそ昭和の価値観から変わるべきメッセージと思う。家で働く人々が増え、長い通勤時間が無駄であることや、平日の昼間、仕事の合間に公園で子供と遊ぶ豊さを目にする。コロナによる自粛生活は、我々に自分の価値観を見直す時間を与えた気がする。
令和とは「もはや拡大志向の山登りでなく、上手に山を下りる時代」だと言う人がいる。頂上からは360度視界が開け、そこに立つと様々な道が見える。一番面白そうなものが見えるところに向けて、一人一人が自由に、好きな道を選んで下りればいい。これからは個人の自由と創造性が何より優先される時代になるであろう。そうした発想の転換が結果として経済の活性化にプラスに働く。新聞で小売りの百貨店業界の販売前年比が4月71%、5月64%と減少。営業時間の短縮、インバウンド需要の減小が要因。一方、スーパーは4月3.7%増、5月6.9%増と生活用品、自宅での食事による食材、調理品が好調。アパレルは店舗臨時休業等から前年比5月66%となる。今後、各社の発想の転換からの実行を起こした企業が生き残ることになる。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)