先日の新聞で「総合スーパーの大量閉店」の記事があった。
GMSの店舗数は2012年で1122店と約15年で40%減った。セブン&アイ、ホールディングスは、「総合スーパーを展開するイトーヨーカ堂の不採算店舗、40店舗を2020年までに閉店する」方針を発表した。これは2015年2月期の営業利益は前年比84%減の18億円。ライバルのイオンリテールも同2月期の営業利益は前年比90%減の25億円。不採算店舗の閉鎖は避けられない状況である。
かつて米国GMSを参考に近代的流通業を目指してダイエーなどが総合スーパー(食品、衣料、日用品、家電、薬品等)を立ち上げたのは約半世紀前。底流にあったのは規模の追求。
規模が伴えば仕入れ条件が良くなり低価格で販売が出来ると考えた。ダイエー創業者の中内功氏の口癖は「物価を半分にする」。規模拡大に向け各社がM&Aを繰り返した。
結果、同質化を生み、店の魅力が落ちた。これはコンビニ業態との比較を鈴木敏文会長は「消費者ニーズを捉え、製造の段階まで踏み込んで商品開発出来たかどうかの差だ」と総括する。消費者ニーズを店頭で直接くみ取り、取引先を巻き込んで商品を独自開発するセブンイレブン。また、現在の不振の背景には衣料の「ユニクロ」「ファストファッション」、家電の「ヤマダ電機」、日用品の「ニトリ」、薬品の「マツモトキヨシ」の専門量販店に客を取られている。
店舗の「解体論」も大事であるが、買いたい商品がある「買いたい論」が置き去りになれば小売業としての存在価値は難しい。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)