「老舗の流儀」

- コンサルタントの独り言 -
2017年02月28日

最近、各社の新ブランド開発、リニューアルの動きが出てきている。アパレルは前年比減の中、特に都心駅ビル、ファッションビルマーケットで巻き返す動きが活発化してきた。

特徴としては、オリジナル企画商品の強化。理由としては同質化を避けることと粗利効率を上げることがあげられる。

そんな中、知り合いから新潮社発行の「老舗の流儀」文献の紹介を受けた。エルメスジャポン社長と虎屋社長の対談本である。

そこから印象深かったのは、

・流行に惑わされない

エルメスは長きにわたって愛用してもらう。母から娘にわたって使ってもらうことが少なくない。つまり一過性の流行でデザインを変えることを良しとしてはこなかった。バックの「ケリー」や「バーキン」が象徴している。エルメスのモノづくりとは、マーケティングありきでなく、デザイナーが「こういうものがあったらいいな」というところから始める。

・日々の生活の中に発想は生まれる

通勤に履けるファッショナブルなスニーカーもエルメスが生み出した。デザイナーがニューヨークの働く女性が、冬の間、凍っている舗道を歩くために、運動靴で通勤し、職場でハイヒールに履き換えるのを見て、面倒なことをしなくていいためにおしゃれなスニーカーを思いつく。

このように暮らしに結びついたひらめきや発想が、きちんと存在しているからお客様から支持され続けると考える。

今こそMD型から老舗のモノづくり原点に帰ることが最大の差別化策になるのでは。

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)