日本国内で「純国産」の衣料品に光を当てる取り組みがアパレル業界で始まっている。
「純国産衣料」の普及を促しているのは業界団体の日本ファッション産業協議会。織り、編み、染色、整理加工、縫製、企画・販売をすべて日本で手掛けた国産品を「J∞QUALITY」商品として認証する制度を2015年2月にスタート。
日本の繊維産業は、製造から販売まで工程ごとに細かく企業が分かれているのが特徴。「川下」で製品の企画・販売を担うアパレル企業の力が強く、「川上」の企業は下請けの色合いが濃い。今回の認証制度もアパレル企業が商品ごとに申請する仕組みのようだ。審査を通過した商品は三陽商会「100年コート」、オンワード樫山「五大陸」が代表的な認証商品。
「五大陸」では、織リ・編みは一宮のイチテキ社、染色・整理加工はソトー社、縫製は花巻の東和プラム社とまさしく純国産である。この制度を始めたのは日本の繊維・縫製産地の地盤沈下に歯止めをかける狙いから。現在衣料品の最終工程である縫製だけを日本で手掛ければ「国産」と表示できる。しかし国内販売の商品のうち「国産」は3%。「純国産」は1.5%の半分。国内繊維産業の事業所数は1万3千とこの20年で4分の1に減っている。現在は円安から国内産地を再活用の動きがあり、国内の技術力に目を向けるアパレルが増えてきている。ただ、「川上」からするとアパレルがどこまでやる気があるのかを探っている。川上側も受注減で廃業した企業と自社商品の直接販売や海外ブランドからの受注で活路を開く企業と二極化が進んでいるようだ。純国産の魅力を浸透させる仕掛けに期待したい。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)