再構築の春

- コンサルタントの独り言 -
2021年04月01日

伊勢丹の成長を支えてきた組織がこの春幕を下ろした。

伊勢丹新宿本店を売上高世界一に押し上げた原動力となった伊勢丹研究所(現三越伊勢丹研究所)とバーニーズ・ニューヨーク新宿。

両社を通じて培った「目利き力」「商品調達力」がデジタル時代に転換する年でもある。

この3月末にクローズした三越伊勢丹研究所は1967年に発足し、伊勢丹の強みである「ファッショントレンド」の目利きを予測し、伊勢丹独自のMD方針を決定してきた。週ごとのきめ細かな販売計画をサポートしてきた。伊勢丹の「感性と科学」基盤であった。そんな研究所もデジタル化によって進むファツション情報が瞬時に世界を駆け回り、バイヤーと消費者が同時に情報を入手する時代となり賞味期間も短くなり研究所として情報優位に立てなくなった。

一方セレクト業態のバーニーズ・ニューヨーク新宿。伊勢丹との関係は2006に解消したが、伊勢丹人材のバイヤー教育、ブランド開発、店づくりのノウハウを学びカリスマバイヤー人材育成を担う。時代の波もコロナ禍によりドレスからカジュアルにシフトし消費低迷に陥り2月28日に店を閉めた。

三越伊勢丹は4月1日より新社長体制で現在のEC比率4%からデジタル強化戦略への転換を図る。

業界もコロナ禍を機会に新経営体制での新しい旗を掲げる期待をしたい

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)