人手不足感からシニアの戦力化に関心が高まっている。
雇用市場へのシニア層の流入が増え、やりがいや働きに見合った処遇を求める声が増えているが、旧態依然とした人事制度から食い違いが生まれている。
昨年の厚生労働省によると65歳以上へ定年を引き上げた企業は全体の27%、定年制廃止したのは4%にとどまっている。また、65歳以上の就業者数は900万人。全就業者の7人に1人で、65歳から69歳の就業率は51%、70歳から74歳は34%と上昇傾向。
雇用環境は60歳~64歳男性のうち「会社、団体の雇用」が最多で71%。雇用形態は非正規雇用が58%で正社員の1.6倍。
定年後の年収は平均で44%低下で「定年前とほぼ同様な仕事内容」が56%。
仕事が変わらないのに正社員と差がついている。
特に「出世競争に勝ち高収入を得る」規範にとらわれている男性ほど不満を募らせる傾向が強く、具体的に「元部下使われる」「定年までの実績を否定される」といった声がある。
多くが定年後同じ業務に就いても期待される役割や責任が示されず報酬も激減される。
こうした状況から打破するためにも従来の規範の呪縛から抜け出し自身の役割、専門知識、人脈、指導育成の比重を高め、新しい知識やスキルを習得すらリスキリングが重要になり会社従属意識から個としての自立意識への転換が求められるであろう。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)