労働市場で終身雇用の優位性が薄れ、転職を探る中年層が増えている。
45~64歳の転職希望者は2023年1~3月平均が378万人と5年前の同期比で3割以上増えた2022年の年平均は968万人と5年前の同期比で16%増だった。
なかでも定年前の55~64歳や団塊ジュニア世代の45から54歳で伸びが目立つ。背景には定年の延長や廃止でこれまでより働く期間が延びたことがある。定年後を見据えてキャリアを見直し早く転職を希望する人が増えている。
また、人材獲得力を高めるため、若年層に手厚く賃上げして中高年を据え置く企業が増えている。長く勤めるほど上がった賃金カーブの上昇の角度もなだらかになってきた。これから少子化が進むにつれ、少ない若年層を企業が取り合う構図になり、賃金カーブのフラット化が進めば終身雇用のメリットも減る。
将来に向けたライフプランから自身のキャリア設計が重要で政府も働き手を成長分野へと移動させることを掲げている。このように既に終身雇用の優位性は徐々に薄れてきている。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)