若者の雇用流動化

- コンサルタントの独り言 -
2021年09月01日

先日、「転職する若者が増えている」との記事を目にした。新型コロナ禍で雇用環境が厳しい中、成長性が高い分野を目指す動きが活発なようである。

総務省の労働力調査によると、2020年の転職者は319万人と前年比1割減。これが若者に目を向けると状況が異なる。入社3年以内に退職する人は約15万人にのぼる。17年の大卒では全体の33%と前比0.8%増え過去10年で最高になった。

20年に20歳代前半で転職が決まった人数は09年~13年平均の3.5倍に達し、全世代の平均(2倍)を大幅に上回る。第二新卒などの若者は将来を見据え、転職でどんなスキルを磨けるかを重視している。

一方採用側も新分野に対応できる人材の必要性から、ファーストリテイリングはデータ分析に精通した人の中途採用に最高2千万円を提示する。待遇面で差をつける動きが増えれば若手だけでなく幅広い世代での人材確保が可能となる。

また、終身雇用や年功序列といった日本型雇用は成長力が落ちると人材が滞留する事態を招き、労働移動の乏しさは産業構造の変化の壁になる。流動性を比較する指標としては、勤務年数が10年以上の社員の割合があり、終身雇用の中高年が多いほど高くなる。

日本は49%と主要先進国で最も高く、ノルウエーやデンマーク、スウェーデンなどは30%にとどまる。これは生産性の低い分野から高い分野への労働移動が活発であるといえよう。今後成長性のある環境に向け自身のキャリアアップを探る環境探しが重要になる。

文/島崎淳 (Jun Shimazaki)