憧れのアパレルショップで勤務することになったとしましょう。素敵な雑貨やお洋服に囲まれたおしゃれな空間で仕事ができるなんて、と気分は舞い上がりますが、すぐに接客が始まります。初めての接客は緊張の嵐、何を話していいのか難しく感じられるかもしれませんね。
声掛けのタイミングに気をつける
お客様は様々なニーズを持って来店します。待ち合わせ前など空き時間のウィンドウショッピング、お友達との買い物イベント、特定の目的に適した洋服探し、季節ごとのアイテム追加、雑誌でみたアイテム探しなど目的は人それぞれ。時間のないお客様もいらっしゃれば、ゆっくり見たいお客様もおられます。お客様にとってちょうど良いタイミングで声掛けできれば最高ですが、そうなるまでには経験を要します。基本的な考え方とコツをご紹介しましょう。
実のところ接客は声掛けを行う前、お客様が来店した時点からすでに始まっています。まずはお客様が来店くださったことに感謝する気持ちを持って、ご挨拶をしたいものです。「いらっしゃいませ」、「こんにちは」など言い方は場合によりますが、できるだけお客様の顔を見て、笑顔で自然にご挨拶しましょう。誰に向けた「いらっしゃいませ」なのかわからないようならば、意味はありません。売れている販売員は挨拶が上手です。店のどの位置に立っていれば自然な距離で挨拶できるかをよく研究していますので、先輩の立ち位置を観察してみるとよいでしょう。当然、奥のほうにいては絶好の機会を失ってしまいます。挨拶は先手必勝、きちんとできれば目的のあるお客様は向こうから話しかけてくださるかもしれませんし、通り過ぎてしまったお客様も、気になる商品に立ち止まったときあなたの声掛けに反応しやすくなります。
挨拶の後は、お客様の様子をさりげなく観察しましょう。あくまでさりげなく、が重要です。棚の商品のたたみ直しや、別の作業をしながらでかまいません。スタッフがある程度忙しそうにしている方が、お客様はゆっくり見て回ることができます。お客様のニーズは先に述べたようにさまざまですから、動きをよく見ておくことが大切です。同じ商品を長く見ているなど明らかに声をかけるタイミングであれば、サイズ違いや色違いの商品があることを伝えてもよいですし、透け素材のブラウスをチェックしているようならば「素敵な素材ですよね」から入ってもよいでしょう。ある程度の時間滞在しているなら、「お好みのお洋服は見つかりましたか」でもかまいません。急いでいる様子ならば「もしお探し物でしたら、お手伝いしますよ」など、相手に合わせたお声掛けを心がけましょう。
売りつけに注意
当然ながら、売りつけはいけません。せっかくお話できたお客様に不快な思いをさせては、次にご来店いただけるチャンスはもう回ってきません。今日の売り上げ目標がちらついたとしても、あくまでお客様の都合を優先すべきです。お話をよく伺い、希望に合いそうな商品をすかさずご案内することは大切ですが、合う物がどうしてもないならば無理強いするのはやめましょう。仮に気に入ったとしても、今日は購入のタイミングではないかもしれません。そんなときは無理せず、入荷予定の商品のご案内をするなど次につなげるようにするのもいいでしょう。
お客様の話を聞く
いずれの場合でも、お客様の話をよく伺うことが大切です。探しているものがあるのか・特にないのか、仕事用の服なのか・休日用なのか、どんなシーンを想定しているのか、素材の好みがあるか、など会話の内容からニーズを推察し、商品を提案しましょう。うまくヒントを引き出せたなら、お客様独りでは選ばないような意外性のある商品でも案外気にいっていただけるかもしれません。それこそが接客の醍醐味です。そのためには商品の特徴を知っておくことや、在庫を把握しておくなどの事前準備も重要です。
接客はいかに相手目線をもてているか
接客のコツは1に挨拶、2に観察、そして相手の立場になって考えることに集約されます。初めての接客ですべてをこなそうと思うと大変高いハードルですが、最初は小さな目標を設定して、実践から始めてみてください。「挨拶をしっかりする」、「声掛けのパターンを3つ考えて、実行してみる」「おすすめの商品を3つ見つけておくなど、何でもいいと思います。また、上手な先輩にロールプレイングをお願いしてみるのもいい方法です。あなたのやる気を買って、親切に教えてくれるかもしれませんよ。