日本のライセンスブランド最後の砦、ついに陥落
「バーバリーのライセンス契約について1つの結果が出たので、説明させていただきます」
2014年5月19日、アパレル大手の三陽商会の記者会見の場で杉浦昌彦社長は
閉ざされた口を開き、2015年をもって、1970年から45年続いたバーバリー・ブランドのアパレル商品の企画・製造・販売の契約が終了になること発表したのです。
安室ちゃんのバーバリーチェックで爆発的に人気の出たバーバリー・ブルーレーベルが実質バーバリーでなくなってしまう!杉浦社長が発表したのは三陽商会の今後を左右する大きな内容でした。
■バーバリーロンドン(ライセンス)の婦人服・紳士服は2015 年春夏シーズンで事業を終了
■バーバリー子供服は2015年春夏シーズン終了後に事業をバーバリーグループへ移管
■バーバリー・ブルーレーベルとブラックレーベルは2015 年秋冬シーズンから「ブルーレーベル」、「ブラックレーベル」と、バーバリーの名称をはずしたブランド名として事業を継続。
人気のブランドがなくなってしまう!この発表はテレビや新聞などのマスメディアでもなどでも多く報道されて、日本中のニュースになりました。
「5年前からなくなるウワサはありました。」
関係者が語る舞台裏
「実は、社内、関係者の間では5年前からバーバリーがなくなるウワサはずっと流れていたんです。」関係者は語ります。
「2020年までだったバーバリー本国とのライセンス契約の更新時期が、5年前に2015年に短縮されました。その頃からロンドンは日本を切るつもりだ!とみんな思っていました。」
会社からの発表はなにもないまま、ウワサだけが社内・関係者の間で広まって行きました。
「そこからは会社の早期退職の奨励などもあって、人がどんどん辞めて行きました。」三陽商会はバーバリーだけでなく約30ものブランドを持つ業界でもかなりの大手企業。
しかし、売上げの多くをバーバリーに頼っていたために、バーバリーがなくなることによって他のブランドの人員削減も十分に考えられ、社員は人事異動のたびにひやひやしていたとか。
その後も会社の社内的な発表はないまま時は過ぎて行きました。
ラグジュアリーブランドを大衆化したことがあだに…
<ロンドンとの方針のズレ>
なぜバーバリー本国が日本のライセンス契約を解除することになったのか。そこにはバーバリーのラグジュアリー化への転換が影響しています。
「バーバリー・プローサム」のクリエイティブ・ディレクター、クリストファー・ベイリーによって再び強力なブランドに作り上げられ、ブランドはより高単価のものが売れるラグジュアリー路線にシフトしました。
バーバリー本国のCEOであるアンジェラ・アーレンズも、日本のブルーレーベル、ブラックレーベルなどの大衆化されたライセンスブランドをお気に召していなかったよう。
バーバーリーの売上げが拡大し、日本のライセンスビジネスからの利益はバーバリーグループ全体の約3%になったことによって、日本との契約を終了しても影響は無いと判断されました。
つぶれてしまった下請け会社も… バーバリーショックの波紋
日本のバーバリーの商品を作っていた下請けメーカーは多くあり、バーバリーの売上げに依存している会社が多い為に、つぶれてしまった会社もある程。
それだけ日本でバーバリーは比較的高単価で数の売れる優良なブランドでした。
海外のライセンスブランドは、他にもラルフローレンやアニエスb.など、次々と契約が終了して、本国の直営化が進んでいます。ブランド商品のコピーが横行して本国が直接コントロールしたいという流れが大きくなり、今後も終了劇が増えそうです。