日本のフリーランスの数は、1100万人を超え、労働力人口の17%に達したとの記事を見る。政府も「1億総活躍社会」の実現を目指し、柔軟な働き方の選択肢を増やすべき取り組みを開始しており、今後の働き方トレンドになるであろう。一方、企業側の動きは、フリーランスを活用する企業は2割程度に留まる。活用検討企業は3割。フリーランスとは、言うまでもなく雇用契約でなく業務委託契約で複数の仕事も携わる。5割の企業はフリーランスを活用したことがないとしている。その理由は「費用対効果が不明」「ノウハウ等の機密情報の流出懸念」「個人との契約締結に対する不安」などである。フリーランスでの契約経験がなく前例がないと思われる。この日本のメンタルモデルのままでは、新しいチャンスをつかむことを逃がし、競争上の優位、環境の変化対応を築けないのではないか。
有効求人倍率1.5倍が示す人材獲得競争の激しさがゆるむことは今後はないであろう。
我々のアパレル業界もますます事業環境の変化スピードが上がり、必要な人的資源の能力・スキル・経験の要件も高度に変わる。それに対応しようと思えば正社員だけでは困難である。中途の獲得も激しさを増す中で、「フリーランスでは不安」と躊躇していては、事業の変革、進化が滞りかねないし、優秀な人材はいつまで経っても獲得できず競争力が低下。資金力が潤沢でない企業は、正社員では採用が難しいのであれば、フリーランスで高度プロ人材と依頼内容、期間限定の契約であれば可能性十分であり、機会損失を防げる。
イノベーションを起こすには多様な経験、視点、感性を積んだ人が加わることで可能性は高まり、今がその局面にきているのでは。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)