中堅アパレルを取り巻く厳しさは続き、吸収合併や倒産を選択する企業も出てくる中、各社どのように生き残りをかけるかがポイントになる。アパレル企業で一番高い給与をもらうべきなのは役員でなく、優秀なデザイナーと販売スタッフだ。
国内アパレルの課題として企業内デザイナーの育成ができていない。
サラリーマンと同じ給与システムで権限もなく、ブランド廃止に伴い人員整理を受けている。本来デザイナー及びディレクターは結果責任を追い、その分報酬も大きいプロフェショナル職であるべきで、若いデザイナーや社員から憧れられるスターでなくてはならない。ブランドはデザイナーや創業者の独自性を起点とするビジネスで、ブランド価値の源泉となる人物が報われるべきで、サラリーマン化して昇りつめた役員が高い報酬をもらっている企業は間違いなく厳しくなるであろう。
販売スタッフも同様に販売力で何とかもっているアパレル企業がたくさんあり、お客様とのリレーションを保ち顧客売り上げを維持しているのも目に付く。このような中、モチベーションを高く保ち、メンバーのマネジメントをしながらVMD、顧客開発、イベントを切り盛りして売り上げを維持している店長クラスは手厚く報われるべきである。
現在はネット通販からデジタル人材に目を向けられているが、ブランドの企画とサービス力維持からデザイナーと販売に光があたり若い次世代から憧れられ、人材が集まる企業環境と人事制度の改革の準備が求められる。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)