アパレルの在庫管理、生産計画に役立つ ABC分析
アパレルの在庫管理や生産計画を立てる際に役立つ分析の一つがABC分析。簡単に言うと、在庫管理・生産計画をするにあたって、沢山ある商品をまんべんなく管理するのではなく、売れる商品、まあまあ売れる商品、あまり売れない商品、というようにABCにランク付けして、それぞれの管理の重点のかけ方を分類する方法です。
ここでは、アパレルの生産計画とABC分析にフォーカスして見て行きましょう。
アパレルってどうやってつくる商品、仕入れる商品を決めているの?
ABC分析を詳しく見る前に、アパレル企業がどうやってつくる商品、仕入れる商品決めているのか見てみましょう。
アパレル企業はざっくり言うと、前年の商品の売上と今年の商品売上を分析して、来年に作る・仕入れる商品・数量を決めます。
分析はいろいろな方法がありますが、一つの方法としては前年、今年に売れたものの商品ごとランキングをつくり、それぞれが何個でいくら売れたのかを品番ごとに数値化し、同じ商品が、前年からどれくらい伸びたのか分析します。その分析に基づいて、来年にどれくらい作れば良いかを計画します。
また、Tシャツ、ジャケット、スカート、コートといった大きな分類がそれぞれどれくらいの構成比で売れているのかを分析し、大きなカテゴリーをそれぞれどれくらいのボリュームで作るのかなども計算します。
他にも色やサイズによる分析やなど、生産・仕入れの計画をするには様々な角度からの数値的な分析と、トレンドの分析が必要になります。
売れるもの、売れないものにメリハリをつけて管理するのがABC分析
ABC分析は、アパレルだけでなくて様々な小売業で使われている手法です。例えば100個の品目を取り扱うとしたら、売上の上位20位までの品目の商品が全体の売上の80%をしめる事が多いという「2割–8割の法則」としても知られています。
ABC分析では、売上を品目ごとに出してランキング化し、例えばその上位から50%までのシェアの品目をA、上位80%をB、下位20%の商品をCと分類します。
それらに分類した商品群を例えば下記のように差別化して管理していきます。
■ Aの商品群:とてもよく売れる商品なので、生産数を多くし、ショップでの売り場面積も多く取る。在庫が切れそうならすぐに追加生産できる体制を作る。
■ Bの商品群:そこそこ売れる商品なので、生産数もそれなりに確保するが在庫が余らない程度に調整する。
■ Cの商品群:あまり売れない商品だけれども、ショップを作るのに必要な商品なので、あまり数量は多く作らず、売り切る数量にする。売れなかったらセールにかけるなどの対応を。
ABC分析は、売れる商品とそうでない商品を数値的に明らかにして、管理の仕方をはっきり区別しよう、という手法ですね。
数字だけでは読み取れない事もある? ZARAの分析方法
一方、売上の数字からだけでは読み取れないショップからの情報、というのもあります。
ZARAでは、来店客がインスピレーションを感じて手に取り、試着したけれども購入に至らなかった商品にフォーカスし、なぜ売れなかったのかを分析することによって今後のシーズンの商品開発に役立てています。
その方法はとても面白く、来店客に6枚までの商品の試着を促し、購入に至らなかった4〜5枚をハンガーラックに一定時間貯めておき、試着担当のスタッフがその売れなかった商品についての特徴、来店客からの声を分析します。スタッフはその情報をスペイン本部に報告し、本部のキャッチャーと言われる担当者がデザイン室にその情報を提供し、次からのデザインの向上に役立てています。
作ったものの売上の数字だけではなく、お客様からの声をデザインに役立てる事を体系的に行っているアパレルは日本にはなかなかないので、面白い制度ですね。