人口減少でこれから深刻になる人手不足を乗り越えるため、労働力を生かしきり、少ない人員で仕事を回すことが主要7ヵ国で最低水準にとどまっている労働生産性の向上が最大の課題である。
外部調査で仕事への熱意や職場への愛着を見せる社員は日本には5%しかいない。145ヵ国のうちイタリアと並び最低水準である。熱意が乏しければ生産性も上がらない。ある会社では社員の提案で2000以上の業務プロセスをロボットやAIに置き換えた。浮いた時間は自身の成長に充てて、希望すれば他の部署で働ける。若手の抜擢などで活性化できる。社員に自立性を持たせ、適材適所の人材配置が有効なのが公募制。ジョブ型人事制度を導入した企業は、中途採用の募集時に同じポストを社内でも公募し、社内外の人材を競わせる。
今後AIにより新たな仕事が生まれる反面、新たに仕事がなくなる。今後デジタル分野など不足人材を育てる枠組みが必要になる。企業も年功人事制度からジョブ型人事制度に変わりつつある。副業も社外で働くことで新たなスキルが身につき、将来のキャリア選択でも可能性が広がり副業や学び直しがしやすい週休3日制の導入も増えるのでないだろうか。今後、ますます多様な人材が企業の垣根を越えて行き来してこそ産業界の足腰が強くなる。
文/島崎淳 (Jun Shimazaki)