ファッションショーを生中継のストリーミングで見られる時代に
パリ、ミラノ、ロンドン、ニューヨーク。これらの4大都市で開かれるファッションウィークでファッションショーを見る事はかつて、ファッションを仕事にしている人にとっても夢のまた夢。限られた特権的な人々のみができる大変貴重なものでした。
ところが今、その4大都市の生中継のファッションショーを、インターネットが見られる人なら誰でも見られる時代になりました。
サイトを提供しているのは、ファッションポータルサイトのFashionWeekOnline.comであり、4つの都市のコレクションを見られる便利なサイトです。
ファッション業界は、数年前までは考えられないほどデジタルメディアが発達してきました。FacebookやYoutube, Instagramなど現代の生活の中でファッションの情報を得る手段はどんどんインターネットやソーシャルメディアに移行しています。
たった数年前までは、有名なビッグメゾンでさえ自社サイトが見るに耐えないブランドが多かった中、ここ最近では目覚ましい進化をとげ、ファッション業界でもデジタル戦略が大きな進歩を遂げています。
デジタルと無縁だったラグジュアリーブランドが!〜バーバリーのデジタル戦略
ラグジュアリーブランドのデジタル戦略の先陣を切ったのは、英国ブランドのバーバリー。
CEOである、アンジェラ・アーレンツは徹底したデジタル戦略によって、バーバリーを若返りさせ、見事に復活させました。その手腕が買われて米国Apple社の小売部門の最高責任者、上級副社長に抜擢される程の功績をあげました。
彼女を筆頭に行われたデジタル戦略による改革とはどんなものだったのでしょうか。
バーバリーは、閉ざされたラジュグアリーブランドを、人々に開放する方針を打ち出しました。まず始めたのは、クローズドだったファッションショーを解放する事。ロンドンコレクションのショーを生中継のストリーミングで放映したのです。
また、生中継のファッションショーを見たコンシューマーが、ショー終了後にそのままオンライン予約してオーダーできるという仕組みを作りました。「Runway Made to Order」と銘打ち、オーダーから約7週間でデリバリーするという、今までのファッション業界では不可能と思われる全く新しい形を作り上げたのです。
これは、今まで限られた人々のみが見る事のできるファッションショーをインターネット世代のコンシューマーに解放する事によって、今まではラグジュアリーブランドがリーチできなかった、若い世代の新規顧客を獲得する事に成功した、大変革新的な出来事でした。
さらに、バーバリーはソーシャルメディアの特徴である、双方向性のコミュニケーションを駆使しています。ファッションショーの生中継を行うだけでなく、TwitterやFacebookで感想や批判を書き込み、拡散できるようにしました。
ランウェイの最中には「ファッションショーのフロントローにアナ・ウィンターがいるよ!」などの書き込みがなされ、見ている人々がわくわくして、まるでその場にいるような感覚を与えました。
皆に開放されたブランドを目指すブランディング。そして双方向のコミュニケーション。それがバーバリー復活の大きな要素となりました。
まだまだ遅れている日本のファッションのデジタル戦略
一方、日本のブランドのデジタル戦略はまだまだ遅れています。ZOZOタウンなどのオンラインショップサイトが大成功をおさめている中、ブランドとしてのデジタル戦略がしっかりなされている日本のブランドはまだまだ多くありません。今後のデジタル戦略の拡大が売上げを左右すると言っても過言ではないでしょう。