マーカーの仕事内容

- アパレル業界ニュース -
2014年10月28日

マーカー

裁断前の生地のなかにパターンを効率よく配置する仕事

アパレルのマーカーとは、パタンナーが作ったパターンを、生地の中にパズルのように効率よく、無駄なく配置するマーキングという作業をする仕事です。
パタンナーがやる場合もありますが、メーカーや縫製工場のマーカーがやる場合が多いようです。
最近ではCADで行う場合も増えています。

洋服を作るには様々な工程を経ます。おおまかにいうと、デザインの作成→パターン作成→グレーディング→マーキング→裁断→縫製 といった具合です。
マーキングは縫製前に生地を裁断するのに欠かせない作業です。生地を無駄にしないで、コストを削減する重要な役割も担います。

アパレルの服を工場で生産する場合、多い場合には何百・何千着を一度に作ります。
それには生地の無駄をなくし、より効率的に作業できることが重要になります。一着で10cm生地を節約すると、1000着では100mの節約になります。高級な服の場合、生地は1m2-3000円する事も。その場合、2-30万の節約になる為マーキングは大変重要な作業になります。

マーキングってどんな作業?

マーキングは生地にパーツ毎に分かれた型紙を無駄の無いように配置して行く作業です。
洋服の生地は反物の状態で縦は100-150cm, 横は30-50mというとてつもなく長い代物です。
その生地にパーツとなった型紙を配置して、裁断する為の型を書き込みます。

洋服の生地は普通、端になるにつれて歪んできます。そのため大きな方は中心に配置し、小さな方ほど端に配置しなければなりません。
型紙のパーツには、前見頃、後ろ身頃、袖、ヨーク、ベルト、ベルトループ、リブ、裏、芯など大小様々な形があります。
生地の中心には歪むと不具合の出る前見頃や後ろ身頃、端の方には多少歪んでも差し支えの無いようなポケット、カフス、ベルトループ、袖などを割り当てます。
また、生地によってその他の特性を備えているため、マーカーはその生地について深く知っている必要があります。

マーキングには色々なやり方があります。
1着の洋服のパーツをまとめてマーキングする方法、小さいパーツなどの複数のパーツを1グループとしてマーキングするグループマーキング、サイズ毎に型を配置して行くサイズマーキングなどです。
また、柄のある生地の場合、柄合わせも必要となります。

より効率良く柄を配置し、生地を無駄にしない為に、マーキングでは生地の面積に対してどれだけ型が収まっているかという「収率」がとても重要になります。
マーキングの収率の理想は約80%と言われています。大小さまざまなパーツを収めて20%のロスに押さえるのはとても難しい技術。
CADでの作業が多いマーキングですが、きちんと効率よく収める事ができるかを見極めるには人間の目と技術が必須です。

CADで配置したパーツは不具合があるもの。それを人間の手で配置し直します。また、生地に不良がある場合、その不良をよけてパーツを配置しなければなりません。一筋縄ではいかない複雑な作業です。

マーカーに向いている人、必要なスキル

マーカーになるのに特別な資格は必要ありませんが、服飾と素材、パソコンの知識が必要となります。
洋服や生地の特性を知り、それぞれに合ったパーツの配置をする必要がある為です。
服飾の専門学校や被服学科を出ていると良いでしょう。また、マーキングはとても細く根気のいる作業です。
展示会前や量産シーズン前の繁忙期には沢山のマーキングが依頼されるので、より効率よく多くの複雑な作業をこなせる器用さも必要です。
持っている良い資格・試験は、パターンメーキング技術検定試験、CAD利用技術者資格・洋裁技術検定・色彩検定などです。