アパレルの職種には、貿易事務という仕事があります。アパレルの貿易事務とはどのようなことをする職業なのでしょうか。
アパレルの貿易事務とは
アパレルの貿易事務とは、海外のアパレルメーカーや工場と取引する窓口となり、商品の輸出入業務が円滑に進むようにサポートする仕事です。そのため、貿易事務のポジションを希望する場合は、アパレル商社やアパレル商材の輸出入を行っているメーカー・ショップに勤務することになります。
具体的な仕事内容は、大きく分けると、輸出業務と輸入業務になります。輸出業務では、商品を輸出する際に必要となる通関書類の作成や通関手続きや、明細書や請求書の作成、商品を預かって運送業者へ送るフォワダーや検品会社などへ指示出し、国際宅配便サービスの手配をします。また、輸入業務では、輸出業務同様、商品を輸入する際に必要となる通関書類の作成や通関手続き、輸入した商品を倉庫に入れるために社内の関連部署や倉庫との調整を行います。
特別な資格はいらない
アパレルの貿易事務にはどのようなスキルや経験が求められるのでしょうか。
まず、輸出入を行う上で必要となる通関書類は基本的に英語のため、ある程度の英語あるいは取引先の国の言語能力が必要となってきます。定型文書の記入のみならず、海外のお客様とメールや電話でのやりとりが発生する場合もあります。英語の場合だと、TOEIC 600点あるいは英検準1級くらいはあると安心して仕事に励むことができるでしょう。
また、貿易事務の仕事は、書類を扱う場面が多いため、正確な事務処理能力やスケジュール管理能力が求められます。事務仕事を行う上で必要なある程度のエクセルやワードなどのパソコンのスキルも必要でしょう。また、届くはずのものがなかなか届かなかったり、ヒットした商品を急きょ追加発注が行われたりするので、調整役となる場面も多く、高いコミュニケーション能力が求められるでしょう。
さらに、採用時に重宝される傾向にあるのが、前職で海外営業事務をはじめとする事務の経験がある場合や商社や貿易会社、物流会社で貿易実務経験がある場合です。また、アパレル業界で勤務した経験がある場合も比較的スムースに業務を行うことができるため採用時に評価されるポイントでもあります。その他にも海外留学の経験があったり、業務で有効になる資格、例えば通関士の資格や貿易実務検定やIATA/FIATA ディプロマを所持している場合も、有利に働く可能性があるため、就職活動時には担当採用者に伝えるようにしましょう。なお、通関士とは、国際物流の手続きを行うための資格を指します。具体的には、輸出入が可能な商品か否かを判断したり、関税などの税金を徴収すべきか否かを判断する人で、通関書類の審査とそれに伴う記名押印を行うのが主な業務となります。貿易事務の仕事を始めたときにはこれらの資格がない場合であっても、働く中でキャリアパスを考えて取得する方も多いようです。
最後に、貿易事務の仕事は、貿易に関する専門用語やある程度の知識が問われるため、初心者の方は不安に感じるかもしれません。しかし、未経験の方を募集する企業も多く、ほとんどの企業では入社時に研修が設けられているので安心してください。
働き方は?
アパレルの貿易事務はどのような雇用形態の方が多いのでしょうか。貿易事務が作成する通関書類は、定型文書であることが多く、それゆえに派遣社員の求人が多いようです。ただし、最終的なチェックをする業務や、貿易事務の定型文書作成以外の業務も多くあるため、正社員として募集をする企業も多数あります。
給与に関しては、20代で平均300~400万円、30代で平均300万~500万、40代で平均300万~600万で、それほど高いとは言えません。ただし、未経験者を多く募集していたり、年齢制限があまりないため、比較的仕事に就きやすい職種と言えるでしょう。
日々磨かれる英語能力
貿易事務の仕事は、世界と日本をつなぐ掛け橋となる業務です。そのため、英語などをはじめとする語学力が日々磨かれるだけでなく、考え方や文化の異なる人々と一緒に仕事をするため、さまざまなものの見方ができるようになります。アパレルという世界が好きで、世界を股にかける仕事に就きたいと思っている人にはぴったりの仕事と言えるでしょう。